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フライトジャケットのモデル『MA-1』は、1950年代初頭にアメリカで開発された。

それまでフライトジャケットというのは、防寒に趣を置く、どこかどっしりとしたデザインだった。
それがMA-1の登場から、ポケットも余計に付けず、首回りも分厚い襟をカットし、丈も短めでシンプルなデザインとなったのだ。

出典:https://www.rothco.com

デザインといっても、あくまで機能を重視したものだ。
ポケットはコックピット機器に引っかかるのを少しでも防ぐためであり、丈も座った時に潰して邪魔にならないように考えられている。
首回りをすっきりさせているのは、更に上着を羽織ることも出来るといわれている。
繊維素材も防寒性に優れたものが増えてきたので薄手の作りにしても問題なかったのだろう。

表地は主にカモフラージュカラーであるグリーンだが、当初はブルーもあった。
何色か試行錯誤されるうち、より戦地で機能的な濃い目のグリーンが決定的になり、以後出回っているものはほとんどがその色である。

そして、裏地がエマージェンシーカラーであるオレンジ色になっているのがMA-1の大きな特徴だろう。エマージェンシーカラーとはその名の通り、戦地などでパイロットを見つけやすくするための色。
また、アメリカの国旗とともに「パイロットを救出、保護してください」とメッセージが書かれた刺繍『ブラッドチット』が施されている。これは実際に軍で使われていたものには今でも残されていて、プレミアがついていたりもする。

 

MA-1がファッションとして流行した大きなきっかけは、映画やドラマなどで有名俳優に着用されたことだろう。
1980年、映画『ハンター』の劇中でスティーブ・マックイーンが着ていたことで、MA-1は世間に大きく認知された。
激しいアクションシーンにも耐えられる丈夫さと、シンプルで動きやすいフライトジャケットは、アクション映画の中でより重宝されたのだ。

 

そして、1986年、アメリカ空軍を描いた映画『トップガン』によってフライトジャケットは世界的に大流行した。
主演のトム・クルーズが劇中で着ていたのはMA-1ではなくレザー製の古いモデルなのだが、フライトジャケットそのものの人気が高まる中、当時の最新モデルだったMA-1が特に大ヒットしたといわれている。

現在でも、映画やドラマでフライトジャケットが着用されることは多くあるので、より注意してみると良いだろう。

Image Credit:ROSCO/ CATHERINE BELLE
https://www.rothco.com/product/rothco-ma-1-flight-jacket
http://catherinebelle.blogspot.jp/2015/08/ma-1-flight-jacket.html

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