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太平洋戦争において「グアム島の戦い」は2度行われている。
いま現在では海外旅行の定番として選ばれているが、80年前には世にも恐ろしい戦火の舞台となっていたのである。

時系列順に追っていくと、グアム島はサイパン島と異なり、太平洋戦争が開戦した1941年12月時点ではアメリカの統治下にあった。
しかし、ハワイでの真珠湾攻撃によってアメリカが日本へ宣戦布告をすると、わずか2日後にはグアム島を舞台に戦いが始まったのだ。
これが「1941年のグアム島の戦い」である。

グアム島の戦い 1941年

日本軍の指揮官は堀井富太郎少将(のちに中将)、対するアメリカ軍はジョージ・マクミリン海軍大佐。
兵力に関しては、日本軍が5千人を動員しているのに対し、アメリカ軍は千人にも満たなかった。

1941年グアムの戦いを描いた戦争画 [Image Credit:Wikipedia]

また1941年のグアムの戦いにおいても、日本軍は奇襲によって戦況をものにしている。
時は12月8日午前5時頃、海軍の航空部隊がグアム島を攻撃し、翌日にも空襲を実行。
10日の早朝に上陸し、間もなく制圧している。
日本軍はこの頃、海軍の兵力がとにかく充実しており、グアム島でも駆逐艦「菊月」「卯月」「夕月」、敷設艦「津軽」などが活躍。

 

駆逐艦「菊月」 [Image Credit:Wikipedia]

またグアム島の攻略支援部隊として、巡洋艦を擁する海軍第六戦隊も参戦している。
指揮官は支援部隊の指揮官は五藤存知海軍少将(のちに海軍中将)だった。

そうしてひとまず、日本軍はグアム島を占領し、目標として掲げた「大東亜共栄圏」へと繋ぎ、対するアメリカ軍は太平洋での貴重な中継基地を失う。

太平洋戦争は大まかにみると「真珠湾攻撃での開戦から半年ほどは日本軍が優位に進み、翌年6月のミッドウェー海戦以降は不利に傾き、最終的には本土での空襲を受けて日本は敗戦した」というのだから、1941年のグアムでの戦いは、日本にとっては幸先の良い戦況の一つであった。

グアム島の戦い 1944年

サイパン島での戦いの次に多くの死傷者を出したのが二度目の「グアム島での戦い」である。

1944年8月、すでに戦況は著しく悪化し、「玉砕」という言葉までうたわれ始めた時、グアム島での2度目の戦いが行われることとなった。
この時点でサイパン島はアメリカ軍によって制圧されており、アメリカは日本本土をB-29のターゲットとするための中継地を得ていた。
またサイパン島での敗戦を機に、 東條英機内閣が総辞職。
小磯国昭内閣が発足したばかりの時だった。

この時の戦いは、数字を見れば明らかでもある。
日本軍は公称2万2千人(海軍8千人、陸軍1万4千人)で、アメリカ軍はその約2倍となる5万5千人の兵力を揃えていた。
司令官は、日本側が小畑英良陸軍中将、高品彪陸軍中将他、アメリカ側はレイモンド・スプルーアンス海軍大将、ホーランド・スミス陸軍中将、ロイ・ガイガー陸軍中将とされている。

アメリカ軍の当初の上陸予定日は6月18日だった。

しかし、同時期のサイパン島での日本軍の反撃などを理由に延期を繰り返し、最終的には7月21日を上陸予定日とした。

そして、先駆け7月8日から砲撃を開始。
沿岸部地域の陣地は焼け野原とされたが、多くのトーチカは砲撃を逃れ、日本軍は約半分の兵力にも関わらず反転攻勢へと打って出た。
この時の戦況を、のちにアメリカ軍は賞賛しているという。
またこの状況はサイパン島の戦況と酷似しており、結果としてアメリカ軍は予想を上回る日本軍の作戦、奇襲、白兵戦に手を焼いたと記録される。

だが多勢に無勢で日本軍は押し進められ、7月25日には総攻撃を開始するも、その時点で日本兵は2千5百名まで減っていたという。
7月28日には高品中将が戦死した。
7月29日にはアメリカ軍がグアム島全域を占領し、掃討作戦に入る。
8月7日にはグアム島北部のイゴ村を戦場に、わずか5輌の95式軽戦車と、速射砲、九八式二十粍高射機関砲などの兵器で応戦したものの、あえなく全滅。
その4日後、8月11日には小畑中将が司令部にて自決し、軍としての組織は壊滅した。

95式軽戦車 [Image Credit:Wikipedia]

 

又木山戦闘司令部壕跡 [Image Credit:Wikipedia]

またグアム島の戦いにおいて大きなエピソードといえば、横井庄一伍長の存在だろう。
横井伍長はグアム島での戦いが終わった後、4名の仲間とジャングルに潜伏し続け、最後の1人になりながらサバイバル生活で生き残り、1972年に発見され、帰国した。

出迎えの人たちの拍手に両手を上げて応える横井庄一さん=1972年2月、羽田空港 [Image Credit:中部経済新聞]

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