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太平洋戦争における「マリアナ諸島・パラオ諸島の戦い」は、長きに渡り続いた第二次世界大戦の岐路であり、後に続く凄惨な本土決戦へと続く最後の戦いであった。
マリアナ沖海戦は、その名の通りマリアナ諸島の周辺海域を舞台に繰り広げられた戦闘で、1944年の6月19日から20日までと短い間で雌雄を決している。

 

まずマリアナ沖海戦において重要なポイントは「あ号作戦」「海軍乙事件」である。
「あ号作戦」とはマリアナ諸島、オーストラリア・フィリピン諸島方面における要撃作戦であり、これらの島を取られるとアメリカのB-29が日本の本土まで飛び立つことができてしまうので総力を決してでも守り抜こうとする作戦である。

「海軍乙事件」(かいぐんおつじけん)とは1944年3月31日に起きた、古賀峯一(こがみねいち)海軍大将と福留繁(ふくとめしげる)海軍中将の搭乗機が遭難し、古賀大将は殉職、福留中将はフィリピンゲリラの捕虜となり、その際にあ号作戦の元となった新Z号作戦の機密文書をアメリカ側に取られた事件である。

また続いて「渾作戦」「アウトレンジ戦法」も戦況に大きく影響した。
「渾作戦」(こんさくせん)とは、1944年5月27日に連合軍がニューギニア北西部に位置するビアク島へ侵攻してきたことにより、第一航空艦隊、戦艦、駆逐艦、重巡艦などを出動せざるを得なくなり、結果としてマリアナ沖海戦での戦力を予定より著しく低下させている。

そして、「アウトレンジ戦法」とは、小沢治三郎(おざわじさぶろう)海軍中将が採用した遠距離攻撃を主とした戦い方であり、艦砲射撃はもとより零式艦上戦闘機(零戦)、艦上爆撃機「彗星」、艦上攻撃機「天山」がアメリカ軍の航空機よりも長距離攻撃に長けているというアドバンテージを活かした戦法であった。

しかし前述の通り作戦の大部分が流出していたため、5月から開始した作戦訓練ではアメリカのガトー級潜水艦「ハーダー」「ヘイク」などにより日本の駆逐艦「水無月」「早波」「風雲」「谷風」が撃沈されている。

駆逐艦「水無月」Image Credit:Wikipedia

 

その後、連合軍によるビアク島への侵攻があり、また6月のサイパン島への爆撃を機に連合軍が同島へ上陸。
それと同時にあ号作戦も発令された。

マリアナ沖海戦は一般的に6月19日と同月20日と定められるが、18日以前にも索敵と奇襲などは行われている。

日本軍は、航空母艦大鳳(たいほう)を旗艦とした第三艦隊(司令長官:小沢治三郎中将、参謀長:古村啓蔵少将)、重巡洋艦愛宕(あたご)を旗艦とした第二艦隊(司令長官:栗田健男中将、参謀長:小柳冨次少将)、ほかに渾作戦でわずかに残った第一航空艦隊(司令長官:角田覚治中将、参謀長:三和義勇大佐)を擁した。

空母「大鳳」Image Credit:Wikipedia

 

対してアメリカ軍はレイモンド・エイムズ・スプルーアンス大将率いる第5艦隊となり、空母の数はおろか、駆逐艦は日本の三倍以上の数があり、航空機もアメリカ側が二倍近く擁していた。

戦争は航空機が攻撃、艦隊による迎撃や索敵が防御の要となるといわれるが、マリアナ沖海戦ではアメリカ側が最新鋭のレーダーや、VT信管(近接信管:砲弾が目標物に命中しなくとも一定の近傍範囲内に達すれば起爆できる信管)を使ったのに対し、日本側は従来の装備が多く、この時点で計り知れない差をつけられていた。

空母「ホーネット」Image Credit:Wikipedia

 

6月19日には機動部隊が早朝から索敵を開始し、アメリカの部隊を発見。
作戦通りに零戦・彗星・天山を数十機出動させ、2~3時間余りかけて敵軍上空付近まで接近するも、前述したレーダーとVT信管による対空砲火によって迎撃され、何とこの時点で七割超もの機体を撃墜されている。

また同日午前から攻撃を続けるが、旗艦の大鳳がアメリカ潜水艦アルバコアの雷撃に遭い、魚雷を一撃受けた。
その数時間後には翔鶴(しょうかく)が潜水艦カヴァラの雷撃を受け、沈没。
間もなくして大鳳が魚雷のダメージ(※航空燃料が漏れていた)によって爆発した。

この時点で航空機の大半を失っていたものの、大型の空母二隻失い、日本の戦況は一日にして壊滅的となる。

6月20日も早朝から索敵が行われるが成果はなく、午後になり、マーク・ミッチャー中将の指揮するアメリカ軍第58任務部隊が来襲。
合計二百機以上もの戦闘機と爆撃機が出動し、日本軍は残された数十機の零戦を出動させるも大半が撃墜され、残された空母も破壊された。

日本軍は残存兵力で夜戦を展開しようとしたが、翌日の21日には小沢中将が作戦中止を下し、撤退した。
アメリカ軍も同時に撤退し、サイパン島へ引き返している。

マリアナ沖海戦はわずか二日間の戦闘であるが、日本軍は空母七隻をも失い、艦載機395機ほか兵力も多く失っている。
対してアメリカ軍は空母は損傷のみで一隻も失うことなく、艦載機130機を失っただけだった。

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